銅テープを用いて、2階建て住宅の2階床面付近の電界強度を劇的に低減する手法を紹介します。床面に銅テープを網の目のように貼り付けるこの手法は既設の床面に適用可能です。
2階建ての2階床面は電界強度が高くなりやすい?
どうして電界が発生するの?
そもそも、電気配線があると常にそこから低周波の電界が発生してしまいます。この電気配線からの低周波の電界は健康にとってあまりよろしくないと言われております。
これを簡単に遮断するにはブレーカーを落とせば良いわけです。しかしながら、電気がないと我々の生活は不便になってしまいます。
また、電気配線からの電界は距離をある程度取れば低減することができます。
電界強度の規定はどうなっているのでしょうか?
一般的に、電磁界の規定としてはスウェーデンのMPR II、TCOというレギュレーションが有名なようです。
以下の情報を見ると、ELF (5 Hz – 2 kHz)の周波数帯では、SWEDAC 1990:8 (MPRII)では電界強度25 V/m以下、TCOでは10 V/m以下と規定されています。
さらにウィキペディア(ドイツ語版)の情報を見てみましょう。
Für Band I (5 Hz bis 2 kHz) maximal 25 Volt / Meter, für Band II (2 kHz bis 400 kHz) maximal 2,5 Volt / Meter (Abstand wie zuvor.)
と記載がありますね。えーっと、ドイツ語だとなんとなくしかわかりません。英語モードに変換してみましょう。
Electric field: For band I (5 Hz to 2 kHz) maximum 25 volts / meter, for band II (2 kHz to 400 kHz) maximum 2.5 volts / meter (distance as before.)
とありますね。やはり、5 Hzから2 kHzの周波数帯では電界強度が最大25 V/mまでのようです。
住宅で電界強度が高くなりやすいところはどこ?
「配線がある=配線からの電界が発生」というジレンマがあります。
電柱から住宅に電気を供給するルート
電柱からの引込線は住宅の壁の受電点から屋内に配線されます。さらに分電盤に接続されます。
受電点から分電盤へのルートには常に電流が流れております。つまり、常に強い電界が出ております。この影響を低減するには近づかない方法しかありません。
受電点から分電盤のルートは屋内配線のようにブレーカーで遮断するということができません。受電点近くに寝室がある場合、寝室は別の部屋にしたほうがベターです。
分電盤から各部屋へ電気を供給するルート
2階建て住宅の電気配線は主に1階と2階の間の空間、つまり1階の天井裏、そして2階の天井裏に施工されます。そして、天井裏から壁面にあるスイッチ、コンセントといったところへ電気配線を下ろす施工がされることが多いと思います。
こういった電気配線があるところの周辺は電界が発生するので電界強度が高い傾向があります。
2階床面は1階天井に張り巡らされた配線の影響で電界強度が高い傾向
1階と2階の間の空間、つまり1階の天井裏に1階用の電気配線を通すため、2階床面は電界強度が高い傾向があります。1階の天井裏へのアクセス口から覗くと、たくさんの電気配線があることを確認できると思います。
ただし、1階の天井裏の高さ方向のスペースが大きく取られている家の場合はこのような問題が少ないこともあります。
2階の天井裏にも電気配線はたくさんあると思いますが、これは普通の生活を送る上で人間との距離をとることができます。
しかし、1階の天井裏にある電気配線のすぐ上に2階の床面がある場合、どうしても人間との距離が非常に近くなってしまいます。
椅子に座っていても、床に足を置くわけで、1階天井裏の電気配線からの電界の影響を受けてしまいます。また、ベッドなどを設置して眠る場合には床面との距離をある程度とることができますが、床に布団を敷いて眠る場合はあまりよろしくない雰囲気ですね。
はたして2階床面の電界はどのくらい?
さて、2階床面の電界強度について、昭和に建てられた古い2階建住宅において測定をしました。

この部屋の床面の電界強度は高いところで40-50 V/mありました。ちなみに、1階と2階の間の配線ルートによって電界強度が高くなったり、低くなったりしました。
先に紹介した規定を復習してみます。SWEDAC 1990:8 (MPRII)では電界強度25 V/m以下、TCOでは10 V/m以下です。この規定と比べても40-50 V/mとはよろしくないようです。床に眠ると眠りが浅いのはこのせいかもしれません。
ちなみに、測定はこちらを利用しました。
この測定機は別の記事で紹介しているので良かったら御覧ください。
解決方法:床に銅テープを貼ってしまう荒業
近年、家を建てる時に、アーシングによる電磁波対策を施す手法があるようです。導電性スパンボンドという特別な素材を床の下に施工するようです。しかし、既設の住宅の場合、簡単には対応できません。
銅テープでワイヤグリッドモデル?
「床からの簡単に電界を抑える手法はないか?」と考えておりました。朝から晩までひたすら考えておりました。やっぱり、私は研究者であります。
「シートで効果があるなら、グリッドモデルでもある程度効果があるのでは?」とひらめきました。
「グリッドモデルってなんぞや?」と思われてしまいますね。すいません。要は網目状にしてしまえばよいということです。
ワイヤグリッドモデルに関しての情報を2つほど紹介します。
https://www.rf-world.jp/bn/RFW39/samples/p014-015.pdf
「コスパよく仕上げるには銅テープで網目状にすればいいべ!」と思いました。
早速、Amazonで10mm x 30mの銅テープ、1本800円ほどで購入しました。
「網目状に貼り付けた銅テープで、ある程度の効果が得られるのでは?」という妄想のもと、チャレンジしました。
銅テープで劇的に電界強度が低下しました!
江戸間の6畳は約352cmx約264cmぐらいと言われております。私が施工した部屋は測定してみるとだいたい360x260cmありました。要はこの床面に銅テープを格子状に貼ればいいわけです。

そして、銅テープの一端を庭の地面に打ち込んだアースに繋げばよいわけです。
しかし、銅テープの間隔はどの程度にすべきか?悩ましいところであります。正解はありません。
自分の目標は、ジュータンを敷いた状態で、その表面で電界強度が1V/m程度になることです。
20cm間隔、10cm間隔など試しました。施工前より劇的に電界強度が低下しますが、目標の1V/mまで低減することができませんでした。銅テープの間隔7.5cmにすると、1V/m以下とすることができました。
部屋の長手方向は360cmありますので7.5cmごとに貼ろうとすると49本(48本+端の1本)貼る必要があります。
そして、その1本1本の長さは360cmなので、49本貼り付けるということは銅テープが176.4m必要ということが分かります。つまり、800円ほどの銅テープを6本必要なわけです。自分はまず1本購入して効果を検証して、その後に失敗してときの保険もかけ7本追加購入しました。したがって、6400円ほど銅テープにかかりました。

銅テープを床面全体に貼り付けたら、テスターで導通をチェックしました。何箇所かチェックしましたがきちんと導通が得られておりました。
私は日置のテスターを利用しています。電気工事の際もちょっとしたチェックにこちらを利用しております。
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和室の場合はどうすれば?
ちなみに、今回はフローリングの床で施工を行いましたが、和室の場合は畳を剥がしてその下にある板面に同様に施工すれば良いと思います。畳の場合、フローリングの上にジュータンを敷いた時より厚みがあるので、銅テープの幅はもう少し離して施工しても良いかもしれません。離しても良い理由は、電界強度は距離によって低下(距離減衰)するからです。
効果は?
施工前の床面の電界強度は高いところで40-50 V/mありましたが、銅テープを網目状に貼り付けることにより、電界強度を1 V/m以下にすることができました。
その効果として、身体がだるくならなくなりました。そして、眠りが深くなりました。この電界低減やアーシングの効果は次の本で紹介されております。もしよかったら、御覧ください。結構分厚い本ですが、読みやすいのでオススメです。
注意事項
しかしながら、銅テープで電界強度低減は、若干ワイルドな手法でございます。あくまでも自己責任で行ってください。
雷が「ゴロ」っとなり始めたら、すぐにアースポイントから切断できるようにしておいたほうが良いかもしれません。

また、1階の電磁環境にどのような影響を与えるかは検証しておりません。現状、携帯電話やWiFiの周波数において、スピードの低下などよろしくない影響は出ていないようです。
ちなみに、もっぱら電気機器のアースを取るために打ち込むアース棒は第二種電気工事士以上の免許が必要です。今回行ったのは、電気機器のアースを取る目的ではなく、あくまでアーシングの目的でありますので該当しませんが、念の為ご注意を。

まとめ
この記事では、銅テープを網目状に貼ることで、2階建て住宅の2階床面からの電界を大幅に低減できることを紹介しました。少しでも参考になると幸せです。
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