屋内の電気配線からは、常に低周波の電界が発生していることをご存知でしょうか?
コンセントや壁の中を通る電気のケーブルには電圧がかかっており、スイッチを切っていても周囲に電界が発生しています。
こうした電界は、「電磁波」のうちの一つであり、近年では人体への影響を気にする人も増えてきました。
特に就寝時や長時間過ごす室内空間で、体にかかる電界をできるだけ減らしたいと考える方にとっては、日常的に取り組める電磁環境改善が重要です。
本記事では、銅テープを使って床面に“簡易アース面”を作り、屋内配線からの電界を低減するDIY手法を紹介します。
銅テープを床に網の目状に貼り、その一端をアース端子や地面へ導通させることで、床面の電位を地面と等しく整える仕組みです。
実際に2階建て住宅で行った事例をもとに、施工方法、使用した道具、そして測定による電界の変化まで、写真付きで詳しく解説します。
2階建ての2階床面は電界強度が高くなりやすい?
どうして電界が発生するの?
実は、壁や天井にある電気配線には、常に電圧がかかっており、そこから低周波の電界が発生しています。
この電界は、電気が流れていなくても(スイッチが切れていても)、配線に電圧がかかっているだけで空間に漏れ出す性質があります。
電界を完全に遮断する最もシンプルな方法は、ブレーカーを落として配線への電圧供給を断つことです。
ただし、当然ながら電気のない生活は非常に不便ですし、現実的ではありません。
そこで現実的な対策としては、
- 配線からある程度距離を取る
- 電界を低減する仕組みを設ける(例:アース処理)
といった方法があります。本記事では、そのひとつとして「銅テープによるアース接続によって電界を抑える方法」をご紹介していきます。
電界強度の規定はどうなっているのでしょうか?
一般的に、電磁界の規定としてはスウェーデンのMPR II、TCOというレギュレーションが有名なようです。
以下の情報を見ると、ELF (5 Hz – 2 kHz)の周波数帯では、SWEDAC 1990:8 (MPRII)では電界強度25 V/m以下、TCOでは10 V/m以下と規定されています。
さらにウィキペディア(ドイツ語版)の情報を見てみましょう。
Für Band I (5 Hz bis 2 kHz) maximal 25 Volt / Meter, für Band II (2 kHz bis 400 kHz) maximal 2,5 Volt / Meter (Abstand wie zuvor.)
と記載がありますね。えーっと、ドイツ語だとなんとなくしかわかりません。英語モードに変換してみましょう。
Electric field: For band I (5 Hz to 2 kHz) maximum 25 volts / meter, for band II (2 kHz to 400 kHz) maximum 2.5 volts / meter (distance as before.)
とありますね。やはり、5 Hzから2 kHzの周波数帯では電界強度が最大25 V/mまでのようです。
住宅で電界強度が高くなりやすいところはどこ?
「配線がある=配線からの電界が発生」というジレンマがあります。
電柱から住宅に電気を供給するルート
電柱からの引込線は住宅の壁の受電点から屋内に配線されます。さらに分電盤に接続されます。
受電点から分電盤へのルートには常に電流が流れております。つまり、常に強い電界が出ております。この影響を低減するには近づかない方法しかありません。
受電点から分電盤のルートは屋内配線のようにブレーカーで遮断するということができません。受電点近くに寝室がある場合、寝室は別の部屋にしたほうがベターです。
分電盤から各部屋へ電気を供給するルート
2階建て住宅の電気配線は主に1階と2階の間の空間、つまり1階の天井裏、そして2階の天井裏に施工されます。そして、天井裏から壁面にあるスイッチ、コンセントといったところへ電気配線を下ろす施工がされることが多いと思います。
こういった電気配線があるところの周辺は電界が発生するので電界強度が高い傾向があります。
2階床面は1階天井に張り巡らされた配線の影響で電界強度が高い傾向
1階と2階の間の空間、つまり1階の天井裏に1階用の電気配線を通すため、2階床面は電界強度が高い傾向があります。1階の天井裏へのアクセス口から覗くと、たくさんの電気配線があることを確認できると思います。
ただし、1階の天井裏の高さ方向のスペースが大きく取られている家の場合はこのような問題が少ないこともあります。
2階の天井裏にも電気配線はたくさんあると思いますが、これは普通の生活を送る上で人間との距離をとることができます。
しかし、1階の天井裏にある電気配線のすぐ上に2階の床面がある場合、どうしても人間との距離が非常に近くなってしまいます。
椅子に座っていても、床に足を置くわけで、1階天井裏の電気配線からの電界の影響を受けてしまいます。また、ベッドなどを設置して眠る場合には床面との距離をある程度とることができますが、床に布団を敷いて眠る場合はあまりよろしくない雰囲気ですね。
はたして2階床面の電界はどのくらい?
さて、2階床面の電界強度について、昭和に建てられた古い2階建住宅において測定をしました。

この部屋の床面の電界強度は高いところで40-50 V/mありました。ちなみに、1階と2階の間の配線ルートによって電界強度が高くなったり、低くなったりしました。
先に紹介した規定を復習してみます。SWEDAC 1990:8 (MPRII)では電界強度25 V/m以下、TCOでは10 V/m以下です。この規定と比べても40-50 V/mとはよろしくないようです。床に眠ると眠りが浅いのはこのせいかもしれません。
ちなみに、測定はこちらを利用しました。
この測定機は別の記事で紹介しているので良かったら御覧ください。
解決方法:床に銅テープを貼ってしまう荒業
近年、家を建てる時に、アーシングによる電磁波対策を施す手法があるようです。導電性スパンボンドという特別な素材を床の下に施工するようです。しかし、既設の住宅の場合、簡単には対応できません。
銅テープでワイヤグリッドモデル?
「床からの簡単に電界を抑える手法はないか?」と考えておりました。朝から晩までひたすら考えておりました。やっぱり、私は研究者であります。
「シートで効果があるなら、グリッドモデルでもある程度効果があるのでは?」とひらめきました。
「グリッドモデルってなんぞや?」と思われてしまいますね。すいません。要は網目状にしてしまえばよいということです。
ワイヤグリッドモデルに関しての情報を2つほど紹介します。
https://www.rf-world.jp/bn/RFW39/samples/p014-015.pdf
「コスパよく仕上げるには銅テープで網目状にすればいいべ!」と思いました。
早速、Amazonで10mm x 30mの銅テープ、1本800円ほどで購入しました。
「網目状に貼り付けた銅テープで、ある程度の効果が得られるのでは?」という妄想のもと、チャレンジしました。
銅テープで劇的に電界強度が低下しました!
江戸間の6畳は約352cmx約264cmぐらいと言われております。私が施工した部屋は測定してみるとだいたい360x260cmありました。要はこの床面に銅テープを格子状に貼ればいいわけです。

そして、銅テープの一端を庭の地面に打ち込んだアースに繋げばよいわけです。
しかし、銅テープの間隔はどの程度にすべきか?悩ましいところであります。正解はありません。
自分の目標は、ジュータンを敷いた状態で、その表面で電界強度が1V/m程度になることです。
20cm間隔、10cm間隔など試しました。施工前より劇的に電界強度が低下しますが、目標の1V/mまで低減することができませんでした。銅テープの間隔7.5cmにすると、1V/m以下とすることができました。
部屋の長手方向は360cmありますので7.5cmごとに貼ろうとすると49本(48本+端の1本)貼る必要があります。
そして、その1本1本の長さは360cmなので、49本貼り付けるということは銅テープが176.4m必要ということが分かります。つまり、800円ほどの銅テープを6本必要なわけです。自分はまず1本購入して効果を検証して、その後に失敗してときの保険もかけ7本追加購入しました。したがって、6400円ほど銅テープにかかりました。

銅テープを床面全体に貼り付けたら、テスターで導通をチェックしました。何箇所かチェックしましたがきちんと導通が得られておりました。
私は日置のテスターを利用しています。電気工事の際もちょっとしたチェックにこちらを利用しております。
和室の場合はどうすれば?
ちなみに、今回はフローリングの床で施工を行いましたが、和室の場合は畳を剥がしてその下にある板面に同様に施工すれば良いと思います。畳の場合、フローリングの上にジュータンを敷いた時より厚みがあるので、銅テープの幅はもう少し離して施工しても良いかもしれません。離しても良い理由は、電界強度は距離によって低下(距離減衰)するからです。
効果は?
施工前の床面の電界強度は高いところで40-50 V/mありましたが、銅テープを網目状に貼り付けることにより、電界強度を1 V/m以下にすることができました。
その効果として、身体がだるくならなくなりました。そして、眠りが深くなりました。
この電界低減やアーシングの効果は次の本で紹介されております。もしよかったら、御覧ください。結構分厚い本ですが、読みやすいのでオススメです。
注意事項
しかしながら、銅テープで電界強度低減は、若干ワイルドな手法でございます。あくまでも自己責任で行ってください。
雷が「ゴロ」っとなり始めたら、すぐにアースポイントから切断できるようにしておいたほうが良いかもしれません。

また、1階の電磁環境にどのような影響を与えるかは検証しておりません。現状、携帯電話やWiFiの周波数において、スピードの低下などよろしくない影響は出ていないようです。
ちなみに、もっぱら電気機器のアースを取るために打ち込むアース棒は第二種電気工事士以上の免許が必要です。今回行ったのは、電気機器のアースを取る目的ではなく、あくまでアーシングの目的でありますので該当しませんが、念の為ご注意を。

まとめ|銅テープで床からの電界を抑えるDIY電磁波対策
この記事では、銅テープを使って2階建て住宅の床面から発生する電界を低減するDIYアース接続の手法をご紹介しました。
低周波の電界は、コンセントや壁内配線などから常時発生しており、睡眠や長時間の室内滞在に影響を与える可能性があるとされています。
こうした電界を少しでも抑えるために、床面に銅テープを網の目状に貼り、その一端をアース接続することで、床の電位を地面と整えるという方法は、特別な工事をせずに実現できる実用的な対策です。
本記事では、実際の測定結果や施工の様子も交えながら、一般の方でも取り組めるよう分かりやすく解説しました。
電磁波(特に電界)対策に関心がある方にとって、今すぐ試せるひとつの手段として参考になれば幸いです。
ぜひ、安全で快適な電磁環境を自分の手で整えてみてください。
使用した道具・おすすめアイテム
この記事で紹介した電界対策に使用した製品はこちらです。
自宅でも簡単に施工ができ、効果も体感しやすい製品を厳選しています。
🧲導電性銅テープ(幅25mm×長さ20m)
→ 床面に貼りやすく、耐久性も高い製品。広範囲を網の目状に施工可能。
📏 EMF-390(電磁波測定器)
→ 電界・磁界・高周波まで測定できる高機能モデル。家庭用に最適。
🔌 アース接続用コード(屋内 or 屋外用)
→ コンセントのアース端子、または地面への埋設に対応。
上記は筆者が実際に使用・検証した製品です。実際に対策をしたい方は、参考にしてみてください。
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